樫原工房準備室

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出版社の印税について

http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/17165
著者は印税だけで生活できるのか

このエントリーを読んで「うん?」と思ったので補足のようなものを。

なお、実売部数ではなく、発行部数なので、市場に出回った時点で著者の収入となります。10万部刷って9万部しか売れなくても、著者の手元には10万部分の収入が入るということです。

ここの部分。「発行部数」というところ。うちの会社(版元)が零細小出版ということもありますが、「発行部数」をとるところも多いんじゃないでしょうか。「発行部数」にすると印税率が高めに設定されますが、版元にとってはリスクが減るので最近は「発行部数」を選択するケースも多いと聞きます。

リスクと聞いても分かりにくいかもしれませんが、本の流通においては

  1. 10万部刷った本が、10万部すべて書店やAmazonなど仮想も含めた店頭に陳列することはない
  2. 直販や一部条件を除き、書籍は売れなければ返品が可能
  3. 発売6ヶ月を過ぎると常備という独特な商習慣がある
  4. 本の返品率は40%前後

という点があり、よほど売れて在庫がなくなり即重版という場合でない限り、たとえ版元に在庫が無いとしても実売と結びつくわけでもなく、実売がつかみにくいからです。在庫が無くなってもとりあえず返品を待ってからという版元もあるんじゃないでしょうか。なので、売れた本だけ支払うというのは版元にとっては非常に堅実な方法なのです。発売直後は実態がつかみにくいので、何ヶ月後とかにまとめて精算することになるのではないでしょうか。ただ、有名な著者の場合は最初に契約(相談)するときに、今回は何部刷るので何円支払いますと決めてしまいます。どちらかというと執筆料にちかいんでしょうかね。

このエントリーにあるように、電子書籍では実売がすぐに分かるというのがいいですね。紙の本では、売れ行きが後手後手になることが多く、重版のタイミングがずれて売れ残りなんてケースも多いようです。両方をうまく使えないだろうか(Amazon オンデマンドの出番?笑)とは常に思います。